聞き返されて、陽茉莉は言葉に詰まる。
なぜ買わないか。
十秒程度の沈黙の後、陽茉莉はおずおずと口を開いた。
「今の商品で、特に困っていないから?」
「そう。わかってるじゃないか」
相澤は陽茉莉をまっすぐに見つめる。
「先方はわざわざ時間を割いて、こちらの話を聞くと言っているんだ。つまり、現状に何かしらの不満点があるはずなんだ。それを聞き出して、向こうが求めているものを先回りして提案するのが、俺達の仕事だろう?」
「私達の仕事……?」
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