「せっかくだから、朝ご飯作って待ってようかな」

 冷蔵庫を覗き、食パンを使ったフレンチトーストを作ることにした。
 牛乳と卵とお砂糖を混ぜ合わせ、食パンを浸す。フライパンにバターを入れると、溶け出した焦がしバターの芳ばしい香りが辺りに漂う。そこに卵液に浸した食パンを入れると、両面にこんがりと焼き色が付くように焼いてゆく。

 最後に上からグラニュー糖を散らして溶かし、甘く、そして表面をカリッとさせるのが陽茉莉の実家の新山家流だ。
 付け合わせにフレッシュサラダとヨーグルトを用意していると、ドアがカチャリと開いた。

「あ。おはようございます、係長」
「おはよう。すごくいい匂いが部屋まで漂ってきた」