「はい、よく食べました! お風呂入って歯を磨いたら寝ようね」
「うん。でも、僕まだ学校の宿題の音読してない」
「じゃあ、聞くよ」

 陽茉莉は食器を流しに持って行くと、ソファーに座って悠翔が国語の教科書を読むのに耳を傾ける。
 そして、保護者欄に「相澤」とサインすると、それを悠翔に手渡した。


    ◇ ◇ ◇


 結局、相澤が帰宅したのは夜の十時過ぎだった。
 部屋着姿でリビングで寛いでいた陽茉莉は、カチャリという鍵を回す音に玄関のほうを見る。

「お帰りなさい!」