「おいしーい!」
「本当? よかったー」

 料理はやっぱり、食べて美味しいと言ってくれる人がいてこそだ。大喜びする悠翔を見て、陽茉莉は頬を綻ばせた。

 そのとき、ふと悠翔が手を止めて自分の皿を見つめる。

「悠翔君、どうしたの?」
「お兄ちゃんの分、ある?」
「あるよ。取っておいてある」
「本当? よかった」

 安心したのか、ほっとした表情の悠翔はまた唐揚げを頬張り始めた。

(もう、八時近いけど……)