マンションに戻ると、陽茉莉は早速仕込みを始めた。

 もも肉を一口大に切って、ショウガの絞り汁と酒と醤油を混ぜたものに漬け込む。二〇分ほどの漬け込み時間を利用して、わかめと油揚げのお味噌汁、サラダ、それに付け合わせのなすのお浸しを用意した。

 漬け汁を切ってから小麦粉と片栗粉を混ぜ合わせた粉をまぶす。肉を揚げると、じゅわっと聞いているだけで美味しい音がした。

「いただきまーす!」
「はーい、召し上がれ」

 陽茉莉と悠翔は綺麗に盛り付けられたお皿の前に座り、行儀よく手を合わせる。
 悠翔は待ちきれない様子で、早速ひとつ目の唐揚げに齧り付く。もぐもぐと小さな口をいっぱいにして頬張り、ふにゃりと笑った。