相澤は驚いた様子だ。
 確認するように見つめられたが、陽茉莉には全くこの男の子──悠翔を助けた記憶がない。一方の悠翔は陽茉莉が戸惑っていることに気が付いたようだ。

「僕だよ、僕。これならわかる?」

 陽茉莉から手を離した悠翔が、一瞬で姿を消した。
 そして、そこにいたのは──。

「え、子犬?」

 しかも、その子犬は昨日陽茉莉が助けた子犬にそっくりで──。

「え、なんで! 男の子だったのに犬になった!」

 わけがわからないこともここまで続くと、夢を見ているのではないかとすら思えてくる。

「犬ではなくて、狼だ。見ての通り、俺達はオオカミのあやかし〝狼神(おおかみ)〟だ」
「オオカミのあやかし……?」