「いや、変な意味じゃなくてだな、一緒に住めばお前を守ってやれる。それに、俺達の気配を邪鬼は嫌がるから、狙われても実際には襲ってきにくくなる──」

 相澤は陽茉莉の顔を見て、焦ったように今の発言の意図を説明し始めた。普段の職場の落ち着いた様子からは想像できない。



 そのとき、カチャンと背後のドアが開く音がした。

「ねえ、誰か来てるの……」

 少し甘えたような口調に振り返った陽茉莉は、その声を発した人物を見て硬直する。

「え?」

 短く切られたサラサラの黒い髪、つぶらな瞳、整った可愛らしい顔立ち……。そこには、どことなく相澤に似た子供がいた。