悠翔の世話をしたり、癒札を作れる陽茉莉が相澤にとって必要な存在なことは十分に理解しているけれど、その言い方がまるで〝陽茉莉という存在が自分にとって必要〟と言われているように感じた。

「だから、ここにいろ」

 陽茉莉の片手を、相澤が手に取る。
 もう一度力強くそう言われた。

「そう仰るなら……」

 陽茉莉は少しだけ考えて、おずおずと頷く。
 陽茉莉にとっても、ここは居心地がよい場所だ。身の安全が保たれるというのも大きいが、何よりも相澤は悠翔とすごす時間が、好きだった。

 相澤の表情がほっとしたように和らいだ。
 そんな些細なことからも、本当に自分にここに残ってほしいと思っているのだと窺い知れて、嬉しさを感じた。