◆◆    2


 リビングでテレビを見ていると、玄関の鍵が回るカチャリという音がした。

「ただいま」
「あ、礼也さん。早かったですね。お帰りなさい」

 陽茉莉は相澤に向かい、ふわりと笑いかける。
 今日は、高塔と飲みに行くから遅くなると事前に聞いていた。まだ夜の十時前なので、思ったより早い帰りだ。

「楽しかったですか?」
「うん、まあまあ」

 相澤はこくりと頷くと、じっと陽茉莉を見つめてくる。

(な、なんだろ……?)

 陽茉莉はその射貫くような視線に、一瞬ドキリとした。