陽茉莉が怯えるように震えると、相澤は大丈夫だと安心させるように陽茉莉の背中を撫でる。
「これで終わりだ」
相澤がその邪鬼に向かってとどめを刺そうとしたそのとき、視界の端から何かが走ってくるのが見えた。一瞬の間に白っぽいそれは黒い人ならざる者の上に馬乗りになると、カプリと噛みつく。
その瞬間、黒い人影が悲鳴と共に煙のように消えた。
銀色の子狼が、ポンっと人の姿に変わる。
「やったー! 僕、とどめを刺したよ」
陽茉莉はその姿を見て、ぽかんと口を開けた。
「え? 悠翔君?」
「うん。あの邪鬼、まだ祓いきれてなかったから最後のとどめを刺したんだ。すごいでしょ?」