ギャアアと叫び声がして恐る恐る目を開けると、視界の端に先ほどの男の人が地面に倒れているのが見えた。

「間に合ってよかった」

 苦しいほどに、強く抱きしめられた。

「礼也さん……」

 けれど、その力強さが今は安心できた。
 もっと強く、痛い位に抱きしめてほしい。

 陽茉莉はそう伝えるように、相澤の背中に両手を回すとぎゅっと力を込めた。陽茉莉の腕に答えるように、相澤の腕にも力が籠もる。

「礼也さん、私、少しはお役に立てましたか」
「ああ、とても。でも、もう二度とこんなことはやめてくれ。陽茉莉が襲われているのを見たとき、心臓が止まるかと思った」
「私は大丈夫ですよ」