先ほどまで気味が悪いほど穏やかだった男の口調が、荒々しいものへと変わる。 今度は右足首に違和感を覚え、陽茉莉は再び体のバランスを崩した。 (四枚使っても、だめなの!?) 冷たい手が肩に触れて、陽茉莉はもうだめだとギュッと目を閉じた。 「陽茉莉!」 自分を呼ぶ叫び声と共に、ザッと強い風が吹く。 肩に触れていた冷たさが消え、代わりに陽茉莉の体を包み込んだのは優しい温もりだった。