至近距離から、はっきりとそう聞こえた。
陽茉莉はさび付いた蝶番のように、ぎこちなく首を回してそちらを見つめる。道路沿いのツツジの植栽の前には、陽茉莉と同じ位の年頃の女の人が座っていた。
にんまりと笑う顔の半分は血塗れで──。
「ひっ!」
相澤と高塔が捜していたのは、この人だ。
本能的に、すぐにそう感じた。
「ネエ、チョウダイ。ソノカラダガアレバ、カレニアイニイケル」
こんなにはっきりと、しっかりと喋る邪鬼に会うのは初めてだった。それだけに、この人ならざる女性が只者ではないとひしひしと感じる。
「いたぞ!」