「いやいや、新山ちゃん、結構押しが強いよね。礼也、ここはお前の負けだ。そもそも、ここに来るのだって散々止めたのに聞かなかったんだから、今回もだめだって言っても新山ちゃんはやると思うよ」
よくわかっていらっしゃると、陽茉莉は高塔の言葉を聞いて口の端を上げる。
一方の相澤は、はあっと大きな溜息をついた。
「わかった。だが、無理はするな。ひとりで絶対に離れるな。やっぱり危険だと判断したら、途中でも悠翔を連れて家に帰らせる。わかった?」
「はい」
陽茉莉は承諾の意思を込めて、しっかりと頷く。
お守りを持たずに外を出歩くのは、前回邪気に襲われたとき以来だ。怖くないと言えば、うそになる。