「それはだめだ。危険すぎる。呑まれたらどうするんだ」

 聞き慣れた低い声がして、陽茉莉は驚いて背後を振り返った。

「お兄ちゃん!」

 そこには、いつの間にか人間の姿に戻った相澤がいた。悠翔の嬉しそうに、相澤に駆け寄る。

「礼也さん! 回復してきたんですね?」

 まだ二、三分しか経っていないのに、予想以上に早い回復だ。

「ああ。二枚使ったから、ほぼ全快してる」
「よかった」

 陽茉莉は手を当てて、胸をなで下ろす。

「ところで今の提案だが、だめだ」
「でも、今困っているんですよね?」