「ところで、さっき高塔副課長が『厄介な状況』って言っていたのは?」
「ああ、邪鬼を取り逃がしたんだ。かなり強い邪気を持ったのが四匹いて、二匹は仕留めたんだが残り二匹がいない」
「捜しているんですね?」
「ああ」

 陽茉莉はじっと考え込む。

「あの……。私がその邪鬼、おびき出そうと思います」
「おびき出す?」
「はい。私、今は礼也さんにもらった護符のお守りを持っているから襲われないですけど、本当はすごく邪気に襲われやすい体質なんです。だから、お守りを置いて歩けば私の体を狙って行方がわからない邪鬼が現れるんじゃないかと思うんです」

 眉根を寄せた高塔が何かを言いかけたそのときだ。