相澤が驚いたように陽茉莉を見つめる。

「そんなに強力じゃないかもしれないですけど、少しは効くと思うんです」

 陽茉莉はショルダーバッグから癒札を取り出すと、それを有無を言わさずに相澤の体に貼り付けた。

「あれ……? 礼也さん?」

 癒札を貼るとすぐに、相澤がうとうととし始めた。

「ちょっ、どうしよう!」

 回復するどころが意識が混濁してきたのかと焦って毛並みごと大きな体を揺すろうとすると、高塔に止められた。

「大丈夫。効いてる」
「え? でも……」

 陽茉莉は高塔を見上げてから、再び相澤に目を移した。相澤は既に目を瞑ってじっとしていた。