オオカミ姿の相澤は、木の下でぐったりとしていた。それでも陽茉莉の声を聞いてつと顔を上げると。すっくと立ち上がる。
 けれど、相当に消耗しているのか、その体がふらりとよろめく。

「礼也さん!」

 陽茉莉は慌ててその体を支えようとした。けれど、オオカミ姿の相澤の体は大きく、支えきれない。

「何をしに来た。悠翔を連れて、早く帰れ。今すぐだ」

 相澤は陽茉莉を責めるような口調でそう言った。

「何しに来たって、礼也さんを助けに来ました。いつもピンチを救ってもらってばっかりだから、礼也さんがピンチなら、私が助ける番でしょう? そのために頑張って祓除札や癒札を作る練習をしたんだから!」