「今いる場所からは、何が見える?」
「えーっと、目の前にグローバルタウン港って名前のマンションがあります」

 陽茉莉はちょうど目の前にあった、見るからに高級そうなマンションのエントランスに書いてあった文字を読み上げる。

「わかった。ちょうど裏手だな。その通りからコンビニの看板が見えないか? そこで待っていてくれたら俺が行く」

 通りの進行方向に目を向けると、確かに数百メートル先にコンビニの看板が光っているのが見えた。

「わかりました」

 陽茉莉はスマホの通話を切ると、そのコンビニに向かって歩き始める。
 そのとき、ゾクッとするような寒気がした。