「お姉ちゃん、あっち!」
悠翔が陽茉莉の手を強く引く。
悠翔が進もうとする方角を見ると、見覚えのある人影が見えた。高塔副課長だ。高塔も陽茉莉達に気が付いたようで、片手を上げている。
「高塔副課長! 相澤係長は?」
「礼也はあっちにいる。癒札を使ったら、新山ちゃんと悠翔はすぐに帰ったほうがいい。今、ちょっと厄介な状況なんだ」
高塔は、固い表情のまま、お寺の中の墓地の一角を指さす。陽茉莉はそちらに目を懲らした。
大きな木の根元に白い大きな岩のようなものがぼんやり見えて、すぐにそっちに駆け寄った。
「礼也さん!」