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 タクシーを降りると、そこは都心のど真ん中とは思えないほどに静寂に包まれていた。
 道の両側にはお寺がいくつかあり、その辺りに広がるのは檀家の墓地だろうか。
 明かりも道路の街灯くらいしかなく、本当にここから歩いて十数分で、巨大ターミナル駅である品川駅に着くのだろうかと思うほどだ。

「どっちだろう?」

 陽茉莉は辺りを見回しながら、片手で悠翔の小さな手をぎゅっと握りしめる。
 もう片方の手では、斜めに掛けたショルダーバッグの肩紐をしっかりと握っていた。ショルダーバッグの中には、これまで作って上手くできた祓除札五枚と癒札二枚を入れている。