(でも……)
陽茉莉はこちらをまっすぐに見つめる、焦げ茶色の瞳を見返す。その力強さはまるで野生のオオカミを彷彿とさせ、絶対に行くのだという悠翔の強い意志を感じさせた。
悠翔にとって、相澤は誰よりも大好きな〝お兄ちゃん〟なのだ。陽茉莉が心配しているのと同様に、いや、それ以上に自分も何かをしたいという気持ちが強いのだということは予想がついた。
「わかった。お姉ちゃんと一緒に行こうか。離れちゃだめだよ?」
陽茉莉は悠翔に言い聞かせるように、顔を覗き込む。
「うん、わかった」
悠翔はいつになく緊張した表情で、しっかりと頷いた。