遠回しに邪魔だから来るなと言われ、陽茉莉はぐっと黙る。
(じゃあ、相澤係長がピンチなのに私は何もせずに黙って安全なところにいろってこと?)
そんなの、嫌だと思った。彼が自分のピンチを救ってくれたなら、私は彼のピンチを救いたい。
『高塔副課長、どこにいらっしゃるんですか?』
『…………』
『教えてくれないなら、自分で探しに行きます。私は邪鬼に襲われやすいから、ふらふらしていればその〝強力な邪鬼〟も引き寄せられてくるかも』
『本気で言っているのか?』
『本気です』
いつも温厚な高塔の口調に剣呑なものが混じる。
普段の陽茉莉であれば「申し訳ございません」と謝罪してしまいそうなシーンだが、陽茉莉はぐっとお腹に力を入れてスマホを握りしめた。