(私、このままここにいていいのかな?)

 相澤の父親が戻ってくるなら、部外者の自分は元の家に戻ったほうがいいのではないか。陽茉莉はそのお守りを見つめたまま、そんなことを思った。


    ◇ ◇ ◇
 

 陽茉莉は壁にかかった時計を見上げる。長針は、さっき見たときから三〇度位しか進んでいなかった。

「礼也さん、遅いなぁ……」

 話したいことがある日に限って、相澤はなかなか家に帰ってこなかった。
 既に時刻は夜の八時を過ぎている。

 週末に邪鬼退治に行くことは度々あるが、いつも夕食の前には帰って来た。それなのに、何の連絡もないなんて。