(あの男の子、どんな顔をしていたっけ?)

 なんとか思い出そうとしたけれど、幼い日の記憶は曖昧ではっきりとは思い出せなかった。けれど、とても綺麗な顔をしていると見惚れたのだけは覚えている。

(あれって、もしかして相澤係長?)

 何ひとつ証拠はないけれど、なぜか確信めいた予感がした。

「そういえばね、もうすぐお父さんが帰ってくるの」

 横にいる悠翔が、嬉しそうにそう言った。

「え? お父さん?」
「うん。今は岩手県にいるんだけど、もうすぐ邪鬼退治が一段落するから戻ってくるって」
「そう……」

 相澤の父親が邪鬼退治で各地を巡っていることは以前、高塔に聞いた。それが一段落しそうだから、ここに戻るということだろうか。