陽茉莉はそのお守りをじっと見つめた。
 陽茉莉が持っている、これと同じお守りは見知らぬ男の子からもらったものだ。

(なんでもらったんだっけ?)

 そう考えて、すぐにその男の子が飼っている犬を助けたからだと思い出す。邪鬼に襲われそうになっているところに颯爽と現れた犬だ。
 その犬のおかげなのか、あのときすぐに邪鬼はいなくなった。

(あれって、本当に犬だったの?)

 陽茉莉は片手をおでこに当てる。

 偶然にしてはできすぎている。
 邪鬼に襲われたところで、たまたま犬が現れて、調子よく邪鬼がいなくなる。

 それだけじゃない。
 飼い主の男の子が後日現れて、邪鬼から守るお守りをくれた。
 陽茉莉より少しだけ年上の男の子だった記憶がある。