「あ、これ。これね、僕のお母さんが作ったんだよ」
「悠翔君のお母さんが?」
「うん。邪鬼に襲われないようにするお守りなんだ」

 悠翔はそれを陽茉莉に見せつけるように持ち上げると、屈託なく笑った。

「邪鬼に襲われないようにするお守り……。これって、どこかで売っていたりする?」
「ううん。売ってないよ。お母さんが作って、自分で持ってた」
「お母さんが作って、自分で……」

 陽茉莉は悠翔の言葉をそのまま繰り返す。
 そうすることで、自分の頭の中を整理しようとした。

 悠翔の母親である琴子さんが祓除師だったこと、そして、陽茉莉と同様に邪鬼に襲われやすい体質だったことは既に高塔や相澤から聞いて知っている。