「これ……」

 陽茉莉は中に入っていたそれを恐る恐る手に取った。
 着物のような生地で作られた小さな巾着袋には、見覚えがある。紫色の紐には両側に房が付いており、中央に金色の鈴が飾られていた。

(私の持っている、お守り?)

 それは、陽茉莉が毎日持ち歩いているお守りにとてもよく似ていた。いや、似ていると言うよりは、同じに見えた。少しだけ模様の出方が違うのは、元の生地を切り取った部分の差からだろう。

(なんで、これがこんなところに?)

 そのお守りを見つめたまま動けない陽茉莉の横から、悠翔がひょいっとそれを手に取った。