「これだと掃除機も入らないね。そうだ!」

 陽茉莉はそのとき、名案を思いついてポンと手を叩く、割り箸の先に雑巾の端切れを巻き付けて拭けば届くかもしれない。早速使い捨ての割り箸と、雑巾を一枚用意した。

「どっかに、輪ゴムないかな?」

 陽茉莉はきょろきょろと辺りを見回す。固定しないと、巻き付けた雑巾が取れてしまう。

「輪ゴム? そっちの引き出しに入ってると思うよ」
「本当? ありがとう!」

 陽茉莉は悠翔が指さした、リビングのサイドボードの引き出しを開ける。
 引き出しの中には、スティックのりやはさみ、クリップなどの小物が綺麗に整理されて入れられていた。