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 年越しの慌ただしさが近付いてきた師走のある週末、陽茉莉は大掃除をしていた。まだ十二月に入ったばかりだけど、早めに始めたほうが後からわたわたせずに済むと思ったのだ。

「お姉ちゃん、棚の上のパタパタ終わったよー」
「はーい。ありがとうね」

 得意げな悠翔の言う〝パタパタ〟とは、ハタキのことだ。使い捨てのハタキを使って、大掃除のお手伝いをしてもらっている。

「ただね、裏のところに溜まった白いのが取れないの」
「んー、どれどれ」

 陽茉莉は悠翔に手を引かれ、リビングに設置されているテレビボードの裏側を見る。確かに、白っぽい埃が壁との隙間に積もっているのが見えた。狭いので、ハタキでは隙間に入らなかったのだろう。