「いやー、とにかくみんな頑張ってくれた。祝杯を上げに行かないとだな」

 須山課長がご機嫌に手を叩き、ちょうど横に座っていた楠木さんに「セッティングよろしく」とお願いした。楠木さんが「なんで私が?」と言いたげに眉根を寄せるのが視界の端に映る。

「ふふっ」

 思わず、笑みが漏れる。

(相澤係長の下で働く営業第一、結構いいかも)

 心からそう感じた瞬間だった。