「じゃあ、摘まみも適当に頼んじゃうね」
相澤は立ち上がると、部屋に設置された電話機を手に取る。程なくして、注文した商品を持ったホテルマンが現れた。ローテーブルに、軽いオードブル盛り合わせとグラスに入った白ワイン、それに黄色いカクテルが置かれる。
「今気が付いたんですけど、ふたりで飲むの初めてですね」
「確かにそうだな。他のメンバーも含めてだと何回も行ってるけど」
相澤はふわりと笑う。
「お疲れ様、乾杯!」
どちらともなくグラスを上げ、カツンと小気味よい音が鳴った。
そのままグラスを口元に運ぶと、オレンジジュースの甘酸っぱさに交じってシュワシュワとした口当たりがした。