館内案内によると、最上階のバーは都心の夜景が一望できるお洒落な雰囲気のところのようだ。
 残念な気もするが、今日は仕方がない。せっかくなので、部屋で少し飲むくらいは許されるだろう。

「いつもジントニックを飲んでいることが多いけど、同じ?」

 相澤はルームサービスのカクテルメニューのページを開いて、陽茉莉に手渡す。

「え? よく知っていますね?」

 陽茉莉はハーフムーンに行くときだけでなく、普段のちょっとした飲み会でも最初からジントニックを頼むことが多い。あまり強くないので、ビールの後にすると飲めなくなってしまうことがあるからだ。

「まあ、何回か一緒に飲みに行っているし……」