陽茉莉が首を傾げると、相澤は説明しながら、とある高級ホテルチェーンの名前を挙げる。そこでは全室に高級ブランドのアメニティを使用しており、それはブランドロゴ入り透明のプラスチック容器に入っているのだと言う。

「へえ、素敵ですね」

 相澤は持参したモバイルパソコンを開き、今日思いついたことをメモしてゆく。

「これ、素案をまとめたら課内ミーティングで共有してみんなからも意見をもらおう」
「そうですね」
「じゃあ、今日はこんなもんでいいかな」

 キーボードをカタカタと操作する音がして、相澤がパソコンを閉じる。
  その横で、陽茉莉は窓の外へと視線を移した。