(ん? サロン・ド・ブーケ? 明日の営業先ってロイヤル・シンフォニーだよね?)

 嫌な予感がした。バサッとその提案書を持ち上げ、下を見る。

「ない、ない、ないっ!」

 念のためデスクの反対側に積まれた資料も確認したけれど、どこにもない。

「うそ……。相澤係長に渡した資料と逆だった?」

 陽茉莉はがっくりと項垂れる。
 今日の日中、相澤に資料の印刷を頼まれて必要分をセットして封筒に入れたのだが、どうやら一緒に印刷した別の提案先用の資料と逆に入れてしまったようだ。三つ隣の相澤の席を見たが、既に帰宅した後でデスク上は綺麗に整理されていた。