「このホテルで多いタイプの部屋がこれなんだ。反対側がベイビューになっているけど、景色が違うだけで部屋の造りは一緒。リニューアル後も、内装──壁紙や水回りを変えるだけで、基本的な部屋の構造は同じだって聞いている」
「なるほど」
アメニティグッズの営業もする予定なので、最もターゲットとなる部屋数が多いこのタイプの部屋を予約したということなのだろう。
「夜は悠翔と俺が一緒に寝るから、陽茉莉はもうひとつのほうでいい?」
「えー。僕、お姉ちゃんと寝る」
「悠翔は兄ちゃんと寝るんだ」
「お姉ちゃんがいい!」
そのやり取りを見ていて、なんだかおかしくなって笑ってしまった。
「いいよ。悠翔君はお姉ちゃんと一緒に寝よう。礼也さんは体が大きいから、そのほうがいいと思うんです」