もう一度会いたくて家の近くに行ったとき、陽茉莉は既にそこには住んでいなかった。
再会後に、あの家のすぐ近くに転居しただけだと知ったが、そんなことを知らなかった 相澤は、二度とあの子には会えないのだと思っていた。
転機は突然やってくる。
何年も経ち、高塔からとても神力の強い子が入社してきたと聞いたとき、期待半分の気持ちで会社から帰宅するその子を見に行った。
そして、一目見てあのときの少女だと確信した。
相澤の中ではあどけない少女のままだった陽茉莉は、想像以上に可愛らしく、そして魅力的な女性になっていた。ぱっちりとした瞳に小さな鼻、くるんと内巻きになった肩より少し長い髪が歩くのに合わせて揺れている。彼女は同期の新人と思しき友人と楽しそうに話しながら、駅のほうへと消えた。
(思った以上に、神力が強いな……)
陽茉莉を見て、すぐにそう思った。それは邪鬼が羨望する体を持っていることを意味している。