ふと、そんなことを考える。
きっと、悲しみに暮れ、復讐心に燃え、最後には自分を責める。悠翔を自分に託してがむしゃらに邪鬼退治に邁進し続ける父親と同じようになる気がした。
「本当は、守ってやりたいんだよな……」
できることなら、陽茉莉を自分の作った安全な場所に置いて、危険など知らずに過ごさせたい。
この歳になってこんなことを言うのは笑われてしまいそうな程くさい話だが、陽茉莉のことは初恋だった。
『わんちゃん、大丈夫?』
幼い日、妖力を使い果たした挙げ句に傷ついて動けなくなった自分を心配そうに見つめた優しい瞳。
『早く元気になるんだよー』
そう言って抱き上げるとにこりと微笑んだ可愛い女の子。
それが陽茉莉だった。