陽茉莉から週末に出かけたいと相談を受けたのは、週始めの火曜日だった。
 その日、ランチから戻ってきた陽茉莉からなぜか高塔の気配を感じた。おかしいとは思ったものの、高塔と陽茉莉に限ってそういう関係にはならないだろうと平静を装って出かける間の悠翔の相手役を快諾した。
 ところが、陽茉莉は当日になっても行き先を言おうとはせず、相澤が陽茉莉の行き先を知ったのは高塔からのメッセージが切っ掛けだ。

『頼まれたから引き受けたけど、どうせだったら礼也が教えてやればいいのに』

 そう書かれているのを見て、ようやく陽茉莉が今日どこに何をしに行ったのかを理解した。

 高塔に自分が何も知らないことを知られるのがなんとなく悔しくて、『色々と事情がある』とだけ返信した。