──礼也は満月の夜は、オオカミになるから。

 ふと、今日高塔から聞いた言葉を思い出した。

(満月の夜は、オオカミになる?)

 そういえば、以前に相澤の様子がいつもと違ったのも満月の日だった。

「でも、まさかね」

 陽茉莉は首を振り、自分の中に浮かんだ馬鹿げた想像を打ち消した。