「陽茉莉、なんか顔が赤いけど大丈夫?」
「ひ、陽茉莉?」
「俺が〝係長〟って呼ばれて疲れるなら、陽茉莉も会社と同じ呼び方だと疲れるかと思ってさ」

 あ、なるほどと素直に納得してしまった。そしてすぐに、いや、そうじゃない!って思い直す。この人、今、絶対にからかって遊んでいた。

「礼也さん、わざと変な言い回ししたでしょ! 勘違いしちゃったじゃないですか!」

 陽茉莉が頬を膨らませると、相澤は少しだけ小首を傾げる。

「何が?」

 相澤は不思議そうに、こちらを見返す。

(純真無垢そうに聞き返してくるけど、騙されないんだからっ!)