陽茉莉は思わず笑みをこぼす。

 元来、陽茉莉は動物が好きだ。

(この子、飼い主さんが名乗り出なかったら私が飼おうかな?)

 そんなことを思っていたのに、その野望は見事に打ち砕かれる。
 翌朝目を覚ますと、子犬は忽然と姿を消していた。