確かに、以前も相澤は陽茉莉の首元に顔を寄せて『嫌な気配はしない』と言っていたことがある。
けれど、そうは言っても狼狽えてしまう。
陽茉莉はドキドキしすぎておかしくなりそうな心臓を収めようと、「これは治療のようなもの、これは治療のようなものー!」と必死に自分に言い聞かせる。
次の瞬間、押し当てられた唇の辺りにちりっとした痛みのようなものを感じる。
「んっ」
思わず声が漏れ、恥ずかしさで死にそうだ。
その声に反応するように、相澤が顔を上げた。
焦げ茶色の瞳と視線が絡み合う。
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