「何やってんの?」
「何って……、帰って来たところです」

 手首をしっかりと掴まれているせいで、身動きができない。ソファーに押し倒されたような格好になった陽茉莉は、あまりの距離の近さに動揺した。

「違くって、人の毛並み触ってもふもふしてただろ?」
「え?」

 眠っていると思っていたのに、起きていた?
 眠っている男性の体を勝手に撫で回して喜んでいるなんて、完全に痴女じゃないか!

「すいません、つい……」

 陽茉莉はそれ以上答えることができず、視線を泳がせる。きっと、顔は真っ赤になっているだろう。