潤ちゃんは陽茉莉の空になったグラスを下げると、静かに別のグラスを差し出した。

「これ、何?」
「これはね、〝ミモザ〟っていうカクテルよ。オレンジジュースとシャンパンベース」
「ふーん」

 陽茉莉はグラスの長い脚を持ち上げて、逆三角錐になった部分に満たされた液体を見つめる。
 黄色くて、シュワシュワと気泡が上がっている。
 トッピングに缶詰のサクランボが乗っていた。

「もうすぐいい知らせが聞けそうな気がするから、私からサービス。上から見ると満月みたいで、今夜にぴったりでしょ?」
「いい話?」
「そ。私の女の勘、意外と当るんだから」