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  高塔と別れた後、陽茉莉は駅前のレストランで食事を取り、そのままハーフムーンへ向かった。
 ドアを開けるとカランコロンとベルが鳴る。

「いらっしゃいませー」

 久しぶりに聞く声に、なんだか安心する自分がいた。

「お久しぶりです!」
「あらー、陽茉莉ちゃんじゃない。久しぶりねー」

 こちらを向いた潤ちゃんは目が合った瞬間ににこりと微笑む。ここ、ハーフムーンに訪れたのは実に三週間ぶり、悪酔いして相澤に迷惑をかけた日以来だ。
 今日は夕ご飯まで用意してきたので、羽を伸ばしても許されるだろう。