高塔は自分のスマホをちらりと見る。陽茉莉はその反応を見て、不思議に思った。

「何かありました?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど、言っておいたほうがいいんじゃない?」
「うーん、必要ないと思います」
「でもさ。礼也は鼻が利くから隠しても隠し通せないと思う」

 そう言うと、高塔は薄暗くなり始めた空を見上げ、人差し指で空を指した。

「それに、ほら。今日は満月のはずだし」
「満月が何の関係があるんですか?」