手に意識を集中させてと言われたけれど、いまいちわからなかった。
 ただ、たまたま上手くできたときは祓いの詞が鈍く光るので上手く乗ったのだとわかる。何度も練習しているうちに、段々とコツを掴めるようになるらしい。

「そういえば、今日は礼也は来なかったんだね。絶対に付いてくると思ってたのに」
「はい。伝えていませんから」
「え? そうなの?」

 高塔は驚いたように目を丸くした。

「はい。係長は心配性なので、反対されると思って」
「あ、そう……。どおりで」