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 秋も深まったこの季節、辺りが夕闇に染まるのも早い。まだ時刻は五時を過ぎたばかりだけれど、辺りはすっかりと薄暗くなっていた。

「そんなに難しくなかったでしょ?」
「はい。でも、私が作ったものって本当に効くんですか?」
「効き目は弱いかもしれないけど、効かないってことはないよ。訓練しているうちに、段々上手に作れるようになると思う。家で復習してみて」
「はい。わかりました」

 陽茉莉は頷く。

 祓除札の作り方は、高塔の言ったとおり至ってシンプルだった。専用の墨を使って祓いの詞を書けばいいだけだ。ただ、この祓いの詞を書くときに神力を乗せる必要があり、そのコントロールが問題になる。