それは、もふもふとした白い──。

「え? これ……、犬?」

 そこには、白っぽい子犬がいた。道路沿いの植栽の下にうずくまって、こちらの様子を窺っている。

「どうしたんだろ? 怪我しちゃったのかな?」

 陽茉莉は恐怖心も忘れてそちらに近付くと、しゃがみ込んでその子犬に両手を伸ばす。

 子犬は抵抗することもなく、大人しく陽茉莉の腕に抱かれた。もふもふとした柔らかな毛並みが肌に触れる。

「動物病院、どっかやっているかな……」

 スマホを取り出して近隣の動物病院を検索する。ちょうどよく一キロほど離れた場所に夜の八時まで夜間診療を受け付けている病院があるのを見つけて、そのまま犬を抱きかかえて向かった。